森で過ごすだけでなく、子どもたちに伝えたいのは、多彩な自然と文化です。ここ阿蘇には、人間が農林業や地域で創ってきた営みを身近に感じやすい環境があります。地域の人たちもやさしく見守ってくれ、一般には立ち入れない牧草地や農地でも特別な許可を得たりして、阿蘇いっぱいで、思い切り遊んでいます。
多様なフィールドの中で人と人とが関わり合い育ち合える、そんな「場」が、おてんとさんの宝です。そんな中で身体と感覚を育て、心を育てることで、意志が育つ。好奇心を奪うのではなく、遊びの中で「生み出す力」を育んでいくことで、次の教育や、人生を生きる力の土台づくりを目指しています。
「子どもたちには、それぞれ違いがある」ことを意識しつつ、全ての子どもが共に成長できるように、一人ひとりの発達に寄り添うのがインクルーシブ教育です。自分の気持ちに気づき、みんなで話し合い、そこから始まる「みんな違ってみんないい」を、小さいころから体感としておぼえ成長していく。それが差別のない世の中へつながるはず… だから「群れで育つ」を大切にしています。
気になったり、困ったりしているお母さんお父さんたちも、みんなどうぞ、私たちが全て受け入れます。その子らしさをいかしながら、「困ったなあ」ということも一緒に「大丈夫、どうすればいいか」というところまでつなげていきたいと思っています。
SOLでは大人も子どもも、相手がどうありたいと思っているかに寄り添うことを大切にしています。おてんとさんでも常に子どもたちの気持ちを考え、自分たちに何ができるかを考え、なんと問いかけるかを考えます。責めたり、かばったりの問いではなく、いかにニュートラルな問いで、子どもたちの心の本当のところを引き出していくか。
本当に一回一回が難しい仕事だけど、これが一番やりがいのある仕事だなと思っています。
地域の人びとが培ってきた文化や芸術から子育てに活かせることはたくさんあり、その智慧を伝承していきたい、と私たちは考えています。昔から「ひと育ての、歌のついた遊び」と言われる、わらべうたもそのひとつ。
森のようちえんでは自由に主体的に動くことが多いけれど、そうではない時間もあえて、おてんとさんでは作っています。わらべうたではルールのある遊びの中で、自分をどうコントロールしたり我慢するか、いろんな場面で自分の力を試されるのです。昔から伝わる子どもたちの大事な文化で、子どもたちに自分の力をつけてほしいと願っています。
おてんとさんのお母さんお父さんたちも、みなさんと同じように、子育てで毎日悩み苦しんでいます。もちろん楽しいことも、たくさん。おてんとさんでは、スタッフが保護者さんに積極的に関わっていくだけでなく、保護者さん同士で話しあえる場づくりを心がけています。また保護者さんは保育現場や保育前後のスタッフMTGに参加して見守りを体験する「1日園長の日」を何度でも作って、気になることを沢山質問・相談できます。
子どもたちとどういう関わりをするのがいいか、日々悩むことを、スタッフも保護者さんもみんなで共有して明日につなげていけている。これは、私たちが「おてんとさんって、いいなあ」と感じ、とても大切にしている景色です。
おてんとさんは、地域のたくさんの大人たちにご協力いただき、南阿蘇・高森の広大なフィールドをいっぱい使って、いろんな場所で多様な遊びをしています。
流れる四季を通して、変化する自然や、季節の地域行事などを身近に感じられるダイナミックな環境で、大切な幼児期をお子さんと過ごしてみませんか。